団体概要
チャイルドラインとは

プライバシーに配慮して内容は再構成しています。

2011年からの電話やオンラインに寄せられた子どもたちの声です。スマートフォンの普及、東日本大震災を始め、多くの自然災害や、未だ収束のみえないコロナ禍など変化や困難の多い10年でした。それらの影響が子どもたちの声に表れています。

【学校】
  • 友だちがいじめられている。助けてあげた方がいいですか?グループの中で仕組んでいる子がいて、
    今度は自分がターゲットにされそうで怖い。(小学高学年・女子)
  • 同じ人にずっといじめられている。
  • イジラレキャラ…とか言われてグループの中で毎日ビンタされるが、グループを移るつもりはない。ひとりでいると変に思われるし、親には心配かけたくない。(中学・男子)
  • 親には完全に味方でいてほしかった。
    いじめを親に相談したら、「相手に何かしたんじゃないか」と言われたことが今でもショック。(中学・女子)
  • 友だちがいじめられて不登校になった。相談されたけど、次は自分がいじめられそうで怖い
  • クラスでいじめられている子がいる。先生には話したが「様子を見る」と言ったきり何もしてくれない。
  • イジメなんて解決できない。先生は何もしてくれない。生きていたくない。つらいから死にたい。(中学・女子)
  • いじめがあるんですけど止められなくて…いじめている子が自分の友だちで、止めると自分がハブられそう。いじめられている子はちょっとキモがられているけど、自分はそれも個性かなぁと思う。(中学・男子)
  • 相談室登校をしている。友だちがいない。高校に行っても教室に入れないと思う。(中学・女子)
  • 音読がうまくできない。みんなの前だとつかえてしまう。ゆっくり読んでいいよね?
  • 不登校って甘えですか? スマホで相談したら「早く学校に行かないと大変なことになる」と言われた。将来が不安。
  • 気が付いたら引きこもり…
    進学校で落ちこぼれ、親も味方してくれなかった。担任からも「どうしようもないやつ」と否定されて学校に行けない。(高校・男子)
【家庭】
  • 親に捨てられました…朝起きたらお母さんがいない。前にも一週間帰って来ない時があった。(中学・男子)
  • ごはん食べなくてもいいから、 お母さんと仲良くなりたい…
    学校に行ったら給食がある。学校がないときは100円くれる。(小学低学年・女子)
  • 母子家庭で生活保護を受けている。母に彼氏が出来て帰ってこない。生活費が足りなくなった。
  • お父さんがリストラにあった。学校を辞めようかと思っている。(高校・女子)
  • 親から失敗作品とののしられる。
    どうしたら逃げ場所が見つかりますか?
  • お母さんがスマホ依存症。「勉強しろ」と言いながら自分はスマホばかりいじっている。
  • 生きていてもいいことがないから、死にたい。自分がウザい。母親に「おろせないから産 んだ」と言われた。(中学・女子)
  • テストの点が良かった!
    褒めてほしいけど家の人は何も言ってくれない。(小学・男子)
  • 父親の浮気を知っていたが、いい家庭を演じるためにずっと我慢してきた。親のエゴに巻き込まれていると思うが、現状維持しかないと思っている。(高校・女子)
  • 誰にも愛されていない…親にきついことを言われる。(高校・男子)
  • 私のことを大切に思って欲しい。親が妹のことばかり可愛いがり、差別する。自分が悪いのかなと思ってしまう。(中学・女子)
  • 過呼吸で苦しい。母親は父親のDVで相談している。母親は自分のことで精一杯。母親が寝た後の父親が怖い。(中学・女子)
  • パパは仕事中でママは妹に授乳中。パパやママに話すのがつまんないので毎日かけてる。
  • ママに彼氏が出来て、その人が来ると外に出てと言われる。
    これって虐待ですか?
  • 母子家庭で母親の苦労やきょうだいのことを考えると、働いた方がいいのかなって思うけど、大学にも行きたい。
  • 小学校から不登校を繰り返している。学校に行かないと親に叩かれてつらい。(中学・女子)
【心】
  • ただ聞いてそばにいてほしい。両親は忙しくて大事な話をせずに大きくなってしまった。(高校・男子)
  • 私は邪魔。いらないんです。誰も泣いてくれない。誰も私を見てくれない。
  • 家も学校もつまらない。腕を焼いてしまう。楽な死に方はないですか?
  • 鬱と統合失調症で通院。イジメられた過去を思い出し、リストカットを繰り返す。(高校・女子)
  • パニック障害で人の目が気になる。高校にも行かず目標もなく寝たり起きたりの生活。(高校・男子)
  • 自分が好きじゃない。得意なことも無く、容姿にも自信がない。周りの評価が怖い。(中学・女子)
【人間関係】
  • 3人のうちひとりが嫌い。表面上、仲良くしている自分が嫌。
  • 何気なく話す子とか、トイレに一緒に行く子がいない。
  • 仲良しの友だちとケンカしてグループから外れてしまった。  今さら他のグループにも入りづらいし、ひとりでいるのもつらい。(高校・女子)
  • 自分には友だちがいない。修学旅行があるからどうしても友だちが欲しい。
  • 「ゴメン気づかなかった」と言われてしまう。 自分だけ置いていかれる。
  • 友だちはどうして出来るの?ずっと仲間はずれ。周りからどう思われているか不安。(高校・男子)
【性】
  • 自分が同性愛者だということを親に伝えたい。小学校2年からそんな感じ。  高校生までには話したい。(中学 女子)
  • 男性でいるのが辛い。小さいときは言えなかったが、大きくなって見た目だけじゃなく中 身も女性になりたいと思っている。(高校・男子)
  • 妊娠してしまった。まだ誰にも言っていない。ご飯も水も飲んでいない。死にたい。
  • 性に興味があることを友だちに知られたくない。
    自分は正常じゃないのか不安。
  • 同性が好きになった。勉強も手に付かずどう生きていったらいいか分からない。
【SNS】
  • 仲間はずれにされるからLINEきらい。やめたけどさみしい。
  • LINE・Twitter・Facebookを夜中までやっている。
    ネット依存症かも…でもやめられない。
  • ネットで知り合った彼に裸の写真を送るように言われて送ってしまった。拡散が怖い。
  • 入学したばかり、LINEでつながっている人ばかりで、友だちが出来ない。
  • ネットで知り合った人から連絡がきて怖くなった。
  • 高額な手数料の請求・・・有料サイトに登録してしまい取り消すにはどうしたらいいか。(中学・男子)
【震災】
  • 地震でこんなにたくさんの人が死んでつらい。自分も死ねばよかった。テレビを観ていると気分が悪くなる。本当に吐き気がして頭痛がしてくる。(中学・女子)
  • 県外に避難しているけど新しいクラスの友だちとなじめない。
  • 友だちは話しかけてくれて楽しい話をしてくれるけど、その話を聞いても自分は笑えない。(中学・女子)
  • 避難所にいるんだけど、着替えをする場所もない。お風呂もやっと10日ぶりに入った。寝ていても泣き声が聞こえたり喧嘩している家族もいるし、ゆっくり寝られない。家に帰りたい。避難所は本当にプライバシーがない。疲れた…(高校・女子)
  • 福島から来ているので悪口を言われる。いつか福島に帰れるまでガンバる。
  • 地震で大変な人がたくさんいるのに被害にもあってないのに食料を買い占めたりしてムカつく。テレビで震災と関係ない番組をやっていると、何なんだと思う。被害にあった人のことを考えたら、計画停電くらい我慢できるだろうと思うけど。(中学・男子)
【コロナ】
  • 吹奏楽部だが、コロナの影響で発表の場が無い。やる気が起きない。  成績も下がってしまった。(高校・女子)
  • 友だちが欲しい。コロナで休みになって新しいクラスの友だちが出来ない。勉強も少し遅 れている。秋旅行もできるか心配。(高校・女子)
  • コロナの影響で勉強が先延ばしになっている。課題が終わらずやる気が出ない。 (中学・男子)
  • ずっと学校が休みで、今日いきなり卒業式。卒業式らしくなく、涙も出なかった。
  • インスタを見ると、外で遊んでいる人がいる。自分はずっと家にいるのに見るのもつらい。
  • 親がケンカしていて嫌だ。コロナで学校に行けないし、外に出られないから暴れだしそう。
  • 学校に早く行きたい。学校は嫌いだけど家にいたくない。学校は避難場所。
チャイルドラインとは
【子どもの声を受け止める覚悟】
  • どういうふうに話そう…うまく話せるかな? 怒られたらどうしよう、馬鹿にされないかな? こんなこと言ったら変な子と思われそうだし…うーん、今は止めとこうか、でもやっぱり話したい、気持ちを聞いてもらいたい。(こんな感じの子どもの気持ちを受け止める覚悟、私にあるのでしょうかと自問自答)
  • 毎回電話に出る度に「気持ちに寄り添えるだろうか」と悩み、なかなか進歩が無いことに我ながら情けなくなります。でも「ありがとうございました」という声を聞けた時は嬉しくなります。まだまだ新米ですが、宜しくお願いします。
  • 受け手を始めて4年目ですが、月1回の受け手なのでいまだに初心者の気持ちです。毎回、気持ちに寄り添えたかな、聴ききれたかな、と反省しますが、声が明るくなったり、ありがとうと言われると嬉しく思います。 
  • 受話器を上げ、第一声のトーン、明るさに注意を払い、かけ手の話に耳を傾けています。受容・共感を心がけ聴いていくと、かけ手の声の変化に気づき嬉しさを感じることがあります。この感動を求め、今も続いています。 
  • 子どもが発する言葉の裏にある本当の思い、優しさ、素直さを受け止め、その心 を大切にしていきたいと感じました。聴かせていただける受け手になることは、 子どもとの信頼関係に最も重要だと確信しています。
  • 電話を通しての一期一会。こどもの声を聴ききって寄り添うことが出来たか、ま だまだ反省する事が多いです。20周年を迎えてチャイルドラインがこれからもこ どもの居場所になれるよう、初心にかえって自分のできることをやっていきたい と思います。 
【子どもってすごい】
  • 子どもたちって、こんなに大変で、大人にもすごく気を使ってくれてるんだ……。 自分が大人になって忘れてしまっていたことを思い出しました。
  • 「子どものために役立つことをしたい」と思って始めたボランティアだけど、初 日で「低い鼻が折れました」。それでもへこたれずに続けた今、言えることは、「子 どもたちに教えられて自分が成長できたこと」「かけがえのないチヤイルドライン の仲間に会えたこと」感謝しかありません。
  • 電話を切るとき丁寧に、「話をきいてくれてありがとうございました」と言った子がいました。自分自身が大変な状況にあるのに、その言葉。そんな姿勢を、大人である自分が、その子との電話から学ばせてもらいました。
  • 元気に明るく話しているうちに、気持ちが落ち着き、本当の気持ちがわき出て泣きじゃくる子どもがいっぱいいます。子どもなりに、つらくてもたえている…。必死に立ち上がろうとする力を感じます。思い切り泣ける場所を、維持していきたいです。
  • 電話を受ける度に、子どもの声に寄り添ってあげられたのだろうかと悩んでいた 頃、「チャイルドラインの受け手さんになるには、どうすればいいの?」と聞かれ た事がある。まだ小学生だろうか、興味をもってくれたのかな。とてもうれしかっ た。仲間になれる日まで待っているよ! 
【私たちは願う】
  • 地球上の子どもたち、泣きたい時には泣きたいだけ泣いてね。痛み、悲しみ、つらい気持ちを理解し、受け止め、ともに考え、いたわりたい。みんなが安全に、安心して、幸せに生きられることを、願い、祈っています。
  • 相談の終わりに「ありがとう!!」と、一度だけ言われた事がある。顔が赤くなるほ ど嬉しかった。子どもの『こころの居場所』で有り続けたいと思った。
  • 電話をかけてくれたみんなのその後は、知るよしもありません。でも、いつもア ンパンマンのように、ぼくの顔をあげるよ、という気持ちで受けています。遠慮 なく電話やオンラインに来てもらいたいと思っています。
  • 20周年を迎える2020年は、コロナ一色になってしまいました。  一瞬一瞬が変化や成長に直結する子どもたちに、この1年は何をもたらすのか、 大人たちのふるまいをどう受けとめているのかと考えます。どんな困難も、子ど もたちとともに乗り越えていきたいです。
  • 「死にたい」という電話を受ける事がよくある。でも、チャイルドラインにかけ てくれるという事はどこかにまだ「生きたい」「助けて」の気持ちもあると信じたい。 これからも「生きたい」の声の味方でありたいと思う。
  • 大人の理不尽な言いつけや、友達とのふわふわした変な違和感を心の中にしまい込んで、なんか気が晴れない……そんな子どもたち。人に対して正直であるより、 自分の気持ちに正直であってほしい。もっともっと丁寧に、子どもたちの気持ちや子どもたちの感性に寄りそいたい。
  • 最近知人から「話をきいてくれてありがとう」と続けていわれた。安心して話せる場は誰にとっても必要だが、特に、声をあげにくい子どもたちの言葉は、念入 りに聴いていかねばと改めて思うこの頃である。
【それでも私たちは、子どもの心のそばに】
  • 数年前の子どもの声は、人間関係の相談は余りなかったが、社会情勢、特にSNS 等の発達が、人間関係を密接にしている。関係性を対人関係(コミュニケーション) で解決できない子は、思い悩み、相談となる。人間関係の相談にはセオリーはな い。
  • いい事があった。宿題が分からない。親に怒られた。親友ができない。その中で も無言の電話が何度もかかってくる。どんな話をしたいのだろ。毎回反省する、 これでよかったのか。
  • 2001年世界同時多発テロ、2004年中越地震、2008年リーマンショック、2011年 東日本大震災、2016年熊本地震etc……。そして2020年コロナ禍、次々色々なこ とがあり、たくさんの声を聴きました。これからも、子どもたちの声に寄り添っ ていたいなぁー。
  • 何年受け手をしても、いまだに電話を取る時は緊張する。泣きながら「死にたい」 と言ってきたあの子。1時間聴き続けたけど、死にたいという気持ちは収まった のか?翌日の朝刊を恐る恐る広げて確認したことを思い出す。
  • 最初は電話口で不安げな声。やさしく声をかけていると打ち解けて、心を広げ、 言葉も広げてくる。中々ほんとのことを話せない子は多い。話さなくていいよ。 じっとあなたに寄り添うよ。そうすると信頼感が伝わってくる。
  • 具体的な提案や気の利いた助言はできないけれど「話を聴くこと」はできるかも、 と始めた受け手。今だに電話の前ではドキドキ。しかもこの頃耳が遠いし、若者 の言葉についていけない。「話を聴くこと」は本当に難しい。